新型コロナウイルス感染症と結膜炎について
新型コロナウイルス感染患者の数%に結膜炎が発症する事が報告されています。
結膜炎(目が赤い・目ヤニが出るなど)の症状で、
- 37℃以上の発熱がある
- 咳が出る、続いている
- 強いだるさ、息苦しさがある
- 味覚、嗅覚の異常がある
のいずれかの症状がある方の受診をお断りする場合があります。
また、結膜炎の症状がなくても、上記症状を自覚し感染が疑われる場合は受診を控えて頂き、新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口(06-6944-8197)に相談いただくようお願いいたします。
結膜炎はうつるの?自然治癒することもある?
瞼の裏側から、白目にかけてその表面を覆っている半透明の膜を「結膜」と呼びます。
そしてここで起こる炎症が「結膜炎」です。充血や目やに、痒みなどの症状を伴います。原因に応じていくつかの種類に分けられますが、中でもウイルス性結膜炎は感染力が強く、目を擦った手などから、まわりの人へとうつることがあります。
なお、ウイルス性結膜炎は、抗菌薬が有効な細菌性結膜炎とは異なり、有効な薬・治療がありません。そのため、自然治癒を待つことになります。ただしその場合も、必ず眼科を受診し、診断、まわりへとうつさないためのアドバイスを受け、経過観察を行うことが大切です。
結膜炎の種類と原因
うつる結膜炎と、うつらない結膜炎に分けて、それぞれの特徴・原因をご紹介します。
うつる結膜炎
流行性角結膜炎
アデノウイルス8・19・37・4型の感染を原因とする、ウイルス性結膜炎の1つです。「はやり目」とも呼ばれます。
目やに、目の充血、涙が出るなどの症状を伴います。重症化して角膜が傷つき、混濁が残ってしまうことがあります。
ウイルスのついたタオル、ティッシュなどを介して、まわりの人へとうつります。
咽頭結膜熱
アデノウイルス3・4・7型の感染を原因とする、ウイルス性結膜炎の1つです。プールを介してうつることが多いため「プール熱」とも呼ばれます。
目やに、目の充血、38℃以上の発熱、喉の痛みなどの症状を伴います。通常は後遺症などが残ることはありませんが、新生児は重症化しやすいと言われています。
クラミジア性結膜炎
主に性行為によるクラミジア・トラコマティスという病原体への感染を原因とする結膜炎です。
目やに、目の充血、目の痛み、瞼の腫れ、結膜のブツブツといった症状を伴います。
女性の場合、放置していると子宮外妊娠、不妊症、流産などのリスクが高くなると言われています。
うつらない結膜炎
細菌性結膜炎
結膜炎の中でももっとも多いのが、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なります)のほか、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などの細菌感染を原因とする細菌性結膜炎です。
身近な細菌、常在菌によるものであり、体調を崩したときなど、免疫力が低下して発症することも少なくありません。
目やに、目の充血、目の痛み、ゴロゴロ感などの症状を伴います。点眼治療で比較的簡単に治りますが、炎症が角膜中央まで広がった場合などには、高度な治療が必要になります。
アレルギー性結膜炎
花粉、ハウスダスト(埃、ペットの毛、真菌など)に対するアレルギーとして起こる結膜炎です。
目のかゆみ、目の充血、瞼の腫れ、ゴロゴロ感などの症状を伴います。花粉の場合にはアレルゲンとなる花粉が飛散する季節のみ、ハウスダストの場合は1年を通して、これらの症状が現れます。そのほか、鼻づまりや鼻水、くしゃみといった鼻の症状を伴うケースも少なくありません。
結膜炎に対しては、主に点眼治療を行います。
結膜炎の症状
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 目やに
- 目の痛み
- ゴロゴロ感
- 瞼の腫れ
- 結膜のブツブツ
結膜炎は原因別にその種類が分かれますが、似通った症状が見られます。自己診断するのではなく、必ず眼科を受診し、正確な診断と適切な治療を受けましょう。
結膜炎の治療・治し方
結膜炎は、角膜混濁や混合感染、ドライアイなどを合併することがあります。甘く見ず、できるだけ早く治療を開始しましょう。
点眼薬
結膜炎の治療で使用する点眼薬には、炎症を抑えるもの、抗生物質が入ったものなどがあります。また、アレルギー症状を抑制するためのステロイド点眼薬を用いることもあります。
内服薬
必要に応じて、内服薬を併用します。
アレルギー性結膜炎に対して、抗アレルギー薬を内服するケースなどです。
ウイルス性結膜炎の場合は完治まで経過観察
アデノウイルスなどを原因とするウイルス性結膜炎の場合には、特効薬がありません。
そのため、必要に応じて抗炎症薬や抗菌薬を用いて経過観察をしながら、自然治癒を待つことになります。
市販の目薬で治らない場合は早めに受診してください
目の症状に気づいても、まず市販の目薬を使用するという方もいらっしゃるかと思います。3日間その目薬を使用しても症状が改善しないという場合には、できるだけ早く、当院にご相談ください。
なお、目の痛み、目のかすみなどの症状がある場合、ご自身のまわりで結膜炎が流行っている場合などは、市販薬に頼らず、すぐに眼科を受診されることをおすすめします。